破倫館

倫理的人生

映画

物語はいかにして充足しうるか?――矢部嵩『〔少女庭国〕』における服従の論理、オタクの欲望、観測者不在の百合

膨大な数の物語を消費し続け、それでも満たされない。Twitterアカウントを新規作成するたび「いま起きていることを見つけよう」というメッセージの――まさにその「いま」によって自我が輪切りにされてゆくことの、過去を切断してゆくことの――無意味さに耐えら…

2018年夏アニメ記録

かんたんな記録と感想。並びは適当

岐路は希望の兆しであれ――『リズと青い鳥』によせて(ネタバレ)

『リズと青い鳥』(山田尚子監督、2018、日本) 言葉が怖い。

映画『ファニーゲーム』感想と雑記

『ファニーゲーム』(ミヒャエル・ハネケ監督、1997年) すごい。「無慈悲で純粋な暴力」を描いた映画かと思いきや、終盤にはこの映画そのものが「暴力」へと転身する。ハネケにとっての標的は観客。本当に最悪な気分。こんなに途中で観るのを止めたくなる映画…

映画『恐怖分子(Terrorizers)』はフィクションに対するテロリズムだ

エドワード・ヤン監督による台湾映画『恐怖分子』について語る前に、やや面倒な回り道をしよう。この作品はまったく難解ではないにせよ、台湾の一つの時代・瞬間を活写し、歴史的要請を強く反映したものである点にはほとんど疑う余地がない。そのため、台湾…