破倫館

倫理的人生

2020年にやりたいこと

私だって「2019年映画ベスト10」とかやりたかったよ。

物語はいかにして充足しうるか?――矢部嵩『〔少女庭国〕』における服従の論理、オタクの欲望、観測者不在の百合

膨大な数の物語を消費し続け、それでも満たされない。Twitterアカウントを新規作成するたび「いま起きていることを見つけよう」というメッセージの――まさにその「いま」によって自我が輪切りにされてゆくことの、過去を切断してゆくことの――無意味さに耐えら…

2018年に買ってよかったもの

物欲がすごい2018年だった

『RELEASE THE SPYCE』7話 感想 「友達」ってなんなんだ

リリスパ、EPISODE:007 「初芽より愛をこめて」の感想。 今期、地味に『SSSS.GRIDMAN』の次くらいに推してる作品ですが、その中でも今回は特に面白かった。「誰とでも友達になれる」という初芽がただの愛嬌おっとり少女などではなく、友達になることに異常な…

プールの底から水面を見上げるように恋をする――『やがて君になる 佐伯沙弥香について』感想

入間人間『やがて君になる 佐伯沙弥香について』は仲谷鳰による漫画『やがて君になる』のスピンオフ小説。主要メンバーの一人である佐伯沙弥香にフォーカスした、原作の過去にあたる物語を描いています。 中学時代の佐伯沙弥香が自分自身の感情に振り回され…

『SSSS.GRIDMAN』6話感想 私たちの世界が何者かに侵略されている/怪獣の臭いのある質感

4話の邪推感想がそこそこ読まれててうれしい! わりと適当なこと書いてますしこれからも書くでしょうが、読んでくださってありがとうございます。 ちなみに5話の時点ではちょっと言及しにくい伏線などがあったので……一つ飛ばして6話について。4話の邪推につ…

『SSSS.GRIDMAN』4話感想 ずれた座席1列ぶんの径庭――百合×セカイ系のテーゼ

ホントならまず1話について書けよという感じなのですが、なんとなく伏線らしいものが出そろってきた感があるので、ちょっとここらで語ってみたくなりました。 というわけで4話「疑・心」の感想です。

2018年夏アニメ記録

かんたんな記録と感想。並びは適当

小説における「正しい記法」とかいうもやっとしたもの――三点リーダ問題

先日、小説の記法について人と話す機会があった。 小説に限らず出版の世界では、暗黙の了解とされている様々な「規則」が存在している。しかしその規則がなぜそうなっているのか、あなたはうまく説明できるだろうか。

岐路は希望の兆しであれ――『リズと青い鳥』によせて(ネタバレ)

『リズと青い鳥』(山田尚子監督、2018、日本) 言葉が怖い。

鶴羽日和

幼な頃には高いところを好んで、当時住んでいた集合住宅の最上階が主な遊び場でした。日射しに弱く学校を休みがちだった私にとって、それはささやかな冒険でしたし、こっそり家を抜け出すスリルもスパイスだったと思います。

アニメOPにおける代替可能性/並列の表現(マッチ・カット) -『カイバ』とか『冴えカノ』とか

湯浅政明監督による2008年のTVシリーズ『カイバ』がすごくいい。 肉体や記憶を売買・換装できるようになった世界を、ファンタジー的なタッチで描く。 主人公カイバ自身も肉体を乗り換えて旅をしながら、その中で様々な人間のドラマを目撃していく。キャラデ…

ふれなばおちん

幼な頃には高いところを好んで、当時住んでいた集合住宅の最上階が主な遊び場でした。日射しに弱く学校を休みがちだった私にとって、それはささやかな冒険でしたし、こっそり家を抜け出すスリルもスパイスだったと思います。

鉄錆の町

創作小説。閉山した炭鉱のある寂れた町で、中学生の「私」には友達のりっちゃん、母親と祖母がいる。漠然とした町の息苦しさみたいなものを描きたかった。

はてなブログで特定カテゴリの記事だけに適用させるCSS

ブログ上で小説をアップロードするとき、本文フォントを自動で明朝体にしてくれるCSSを入れてみた。

映画『ファニーゲーム』感想と雑記

『ファニーゲーム』(ミヒャエル・ハネケ監督、1997年) すごい。「無慈悲で純粋な暴力」を描いた映画かと思いきや、終盤にはこの映画そのものが「暴力」へと転身する。ハネケにとっての標的は観客。本当に最悪な気分。こんなに途中で観るのを止めたくなる映画…

映画『恐怖分子(Terrorizers)』はフィクションに対するテロリズムだ

エドワード・ヤン監督による台湾映画『恐怖分子』について語る前に、やや面倒な回り道をしよう。この作品はまったく難解ではないにせよ、台湾の一つの時代・瞬間を活写し、歴史的要請を強く反映したものである点にはほとんど疑う余地がない。そのため、台湾…

朝汀

黒曜石の断面のような水面が重く横たわっていた。その先端は鋭く光って、淡く煙った夜空を拒んでいるみたいに切り立つ水平線。吐く息は濁った黒になる冬の夜、 しきりに鳴る電話の着信を切った。「一五九二〇〇〇〇、」 首都高速湾岸線、高架のへりを歩く浅…

無題

何か面白いことになるかなと思って賞味期限切れ未開封の牛乳パックを部屋に置いて観察していたのだけど、結局一ヶ月ほど過ぎて何もなくて、ああなんだと思って捨てた。洗い物の溜まったシンクに流した。

『たのしい自殺のやりかた』

死にたくても死ねない。二階建てアパートの一階に住んでいて飛び降りには向かないし、首を吊るにも丁度良い梁がない。そんなふうに言い訳をする癖ばかりついて気付けば二十代も後半、ようやく俺一人では死ねそうにないと思い至った。人間、自殺をするにも知…