破倫館

倫理的人生

創作

鶴羽日和

幼な頃には高いところを好んで、当時住んでいた集合住宅の最上階が主な遊び場でした。日射しに弱く学校を休みがちだった私にとって、それはささやかな冒険でしたし、こっそり家を抜け出すスリルもスパイスだったと思います。

ふれなばおちん

幼な頃には高いところを好んで、当時住んでいた集合住宅の最上階が主な遊び場でした。日射しに弱く学校を休みがちだった私にとって、それはささやかな冒険でしたし、こっそり家を抜け出すスリルもスパイスだったと思います。

鉄錆の町

創作小説。閉山した炭鉱のある寂れた町で、中学生の「私」には友達のりっちゃん、母親と祖母がいる。漠然とした町の息苦しさみたいなものを描きたかった。

朝汀

黒曜石の断面のような水面が重く横たわっていた。その先端は鋭く光って、淡く煙った夜空を拒んでいるみたいに切り立つ水平線。吐く息は濁った黒になる冬の夜、 しきりに鳴る電話の着信を切った。「一五九二〇〇〇〇、」 首都高速湾岸線、高架のへりを歩く浅…

『たのしい自殺のやりかた』

死にたくても死ねない。二階建てアパートの一階に住んでいて飛び降りには向かないし、首を吊るにも丁度良い梁がない。そんなふうに言い訳をする癖ばかりついて気付けば二十代も後半、ようやく俺一人では死ねそうにないと思い至った。人間、自殺をするにも知…