破倫館

倫理的人生

物語はいかにして充足しうるか?――矢部嵩『〔少女庭国〕』における服従の論理、オタクの欲望、観測者不在の百合

 膨大な数の物語を消費し続け、それでも満たされない。Twitterアカウントを新規作成するたび「いま起きていることを見つけよう」というメッセージの――まさにその「いま」によって自我が輪切りにされてゆくことの、過去を切断してゆくことの――無意味さに耐えられない。飼い慣らされた快楽のままにガチャは無限に回されて、指先はスマートフォンの画面に同じ形をなぞり続ける。

 これは、そんな虚無的な欲望の果てに、消費される物語群-シミュラークルの犠牲になった"少女たち"の幻視である。

 永遠に終わらせることのできない〔物語〕に囚われている、そんなあなたたちの孤独へ。

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『RELEASE THE SPYCE』7話 感想 「友達」ってなんなんだ

リリスパ、EPISODE:007 「初芽より愛をこめて」の感想。

今期、地味に『SSSS.GRIDMAN』の次くらいに推してる作品ですが、その中でも今回は特に面白かった。「誰とでも友達になれる」という初芽がただの愛嬌おっとり少女などではなく、友達になることに異常なまでの執念を抱いているという一面を描いた回。むちゃくちゃ怖かったです。

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プールの底から水面を見上げるように恋をする――『やがて君になる 佐伯沙弥香について』感想

やがて君になる 佐伯沙弥香について (電撃文庫)

入間人間やがて君になる 佐伯沙弥香について』は仲谷鳰による漫画『やがて君になる』のスピンオフ小説。主要メンバーの一人である佐伯沙弥香にフォーカスした、原作の過去にあたる物語を描いています。

中学時代の佐伯沙弥香が自分自身の感情に振り回されて、初めて恋を知る過程が読めるだけで優勝。

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『SSSS.GRIDMAN』6話感想 私たちの世界が何者かに侵略されている/怪獣の臭いのある質感

4話の邪推感想がそこそこ読まれててうれしい! わりと適当なこと書いてますしこれからも書くでしょうが、読んでくださってありがとうございます。

ちなみに5話の時点ではちょっと言及しにくい伏線などがあったので……一つ飛ばして6話について。4話の邪推についての答え合わせ的な面もあるかな。

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『SSSS.GRIDMAN』4話感想 ずれた座席1列ぶんの径庭――百合×セカイ系のテーゼ

ホントならまず1話について書けよという感じなのですが、なんとなく伏線らしいものが出そろってきた感があるので、ちょっとここらで語ってみたくなりました。

というわけで4話「疑・心」の感想です。

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小説における「正しい記法」とかいうもやっとしたもの――三点リーダ問題

先日、小説の記法について人と話す機会があった。

小説に限らず出版の世界では、暗黙の了解とされている様々な「規則」が存在している。しかしその規則がなぜそうなっているのか、あなたはうまく説明できるだろうか。

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岐路は希望の兆しであれ――『リズと青い鳥』によせて(ネタバレ)

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リズと青い鳥』(山田尚子監督、2018、日本)

 言葉が怖い。

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鶴羽日和

 幼な頃には高いところを好んで、当時住んでいた集合住宅の最上階が主な遊び場でした。日射しに弱く学校を休みがちだった私にとって、それはささやかな冒険でしたし、こっそり家を抜け出すスリルもスパイスだったと思います。

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